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シリコンバッグ挿入手術

<東京・20代・美容外科勤務>
1960年代から行われてきた豊胸手術であるシリコンバッグ挿入手術は長い歴史を持っています。それまで豊胸はシリコンオイルをバストに直接注入することでした。そうしたやり方で、肉芽腫などの問題が発生し、皮膚壊死が起こり、バストが変形してしまい、乳房を切断することになった症例が多発しました。当時のシリコンオイル自体の性質にも問題があり、不純物が多いものに関しては不純物が発癌性であり、危険な方法であることが判明しました。やがて外側が固体のシリコン膜で覆われた歯質の胸部のシリコンバッグが現れ、直接注入していたシリコンオイルを固体膜で人体から分離することが決定されたのです。
このシリコンバッグは数十年以上にわたる変遷の過程で様々な改良が施され今に至っています。まずシリコン含有量については、漏れたときの人体への影響を最小限に抑えるために、不純物を最小限に抑えようとしています。
1990年代、シリコーン袋による発癌性が疑われた時、その内容物は生理食塩水、トリグリセリドと呼ばれる油(大豆油)、ヒドロゲル(PVPとCMC)とされました。また、2000年代には、ざらつき感があり外膜が壊れても外部に漏れないタイプのシリコンになりました。そうすることで、シリコンが外部に漏れても拡散しなくなりました。

シリコンバッグ挿入手術に使用されるバッグおよびプロテーゼの歴史は以下の通りです。

1960年代初め
バッグプロテーゼによる豊胸手術が始まります。

1960年代初め
もともと人工乳腺と呼ばれているので、乳腺下法が一般的です。当時、生理食塩袋とシリコン袋が使用されていましたが、触っても快適なのでシリコン袋がより使われていました。

1992年以来
米国のシリコンバッグは発癌性があると疑われているため、FDAによって米国で販売が中止されます(ヨーロッパで使用されていましたが)。米国食品医薬品局(FDA)によるFDAのシリコーン袋の使用が凍結された結果、生理用袋は頻繁に使用されてきましたが、快適性が乏しいため大胸筋下法が開始されました。
CMCゲルバッグは、バッグ内のシリコンゲル(シリコンオイル)の生理食塩水以外の代替物としてハイドロゲルバッグの後に生まれました。英国では大豆油を使用した三袋が出現しています。米国では生理食塩水バッグを除きFDAの承認はなく使用されていませんでした。

1990年代半ば
コヒーシブシリコンの誕生に伴い、乳腺下法が再び可能になりました。シリコーン袋、生理食塩袋、ヒドロゲル袋、CMCゲル袋、および三袋はすべて液体であるため、流出の危険があり、固体の粘着性のシリコンが生まれたというわけです。

1999年11月1日
バッグの研究が進行中であることから、11月にシリコンの発癌性が否定され、米国のFDAは再びシリコンバッグによる乳房拡張を承認し、再び使用することができるようになりました。
それ以来、コヒーシブシリコンバッグプロテーゼが、シリコンバッグ挿入手術において用いられる標準的なバッグとなっていったのです。

1992年
シリコーン発癌症例の疑いの背後にある真実は、壊れたシリコンバッグから流出したシリコーンゲル(シリコーンオイル)が肉芽腫を形成し、そのせいでマンモグラフィーで影ができ乳癌の検出が遅れたことです。

2001年
ハイドロゲルバッグ、CMCゲルバッグ、トリルーセントバッグはヨーロッパでは使用が禁止されています。感染の可能性や漏出時の大きな腫脹など身体の代謝や排泄には疑問があるためです。結果として米国だけでなく世界中でも、シリコンバッグ挿入手術のためのバッグプロテーゼは、コヒーシブシリコンがメインに使用されることとなったのです。

2012年
フランスのPIP社が、胸部インプラントバッグとプロテーゼの内容物と外膜のパフォーマンスの偽装を行っていたことが発覚しました。なんと工業用シリコンを使用していたのです。

シリコンバッグ挿入手術の際の外科的方法についても改善が試みられています。
当初、このシリコンバッグ挿入手術は、乳房の下の乳房下線と呼ばれる溝様のしわから乳腺下に挿入するやり方が標準操作であると考えられていました。しかし、拘縮や瘢痕の問題が近づくにつれて、大胸筋と呼ばれる筋肉のにの腋窩しわの下から挿入するやり方に変わってきました。この傾向は、米国で一時的にシリコンバッグの使用が制限され、内容物が生理食塩水に変更されたときにピークに達しました。
そして、シリコーン袋の使用制限が解除され、袋の表面の構造も拘縮を起こしにくいものに変わったとき、下から表面に近い乳腺の下に挿入する方法が再度主流になりました。
現在、症例に応じては筋肉の上下で区別することが想定されています。

「拘縮」の問題は、シリコンバッグ挿入手術で今でも完全には解決されていない問題です。拘縮とは一般的に言われているバストが難しくなる現象です。シリコーン袋自体の硬度は、製品としてバストの標準硬度に適合するように作られています。しかし、手術によって人体に埋め込まれると、その周囲にカプセル膜が形成されます。このカプセルは徐々に時間とともに収縮し、シリコーンバッグを締め付け始めるのです。この締め付けにより、シリコーン袋の内容物の圧力が高くなり、バストに硬度が出てくる現象をカプセル拘縮と言います。
拘縮進行中のカプセルの締め付けによってバストを変形させることもあります。術中のマッサージや何らかの薬物療法によって拘縮と呼ばれるこの現象を防ぐことができますが、絶対に防げるわけではありません。さらにシリコンバッグ挿入手術前に拘縮の発生を予測することは現時点では残念ながら不可能といえます。

シリコーン袋は人工異物であり、比較的大きな異物とも言われています。検査するにあたってさまざまな問題が浮上してきます。
シリコンは比較的良好なX線透過性を有するため、様々な病変のX線診断にあまり影響を与えないと言われています。定期健康診断などの胸部X線撮影では、バッグ自体が撮影されることはまれであると言われています。しかしあくまで診断の邪魔にならないというだけであって、バッグが入っていることがわからないわけではありません。
一方CTスキャンとMRIでは、シリコンバッグが確実に撮影されます。なおシリコン・バッグを示さないCTスキャンとMRI検査では、他の病変も見逃しているだけでなく、検査も行われていないため、全く意味のない検査です。

乳がんの早期発見と早期予防が普及し、乳房X線検査の受診者は最近増加傾向にあります。乳がんの発生率が欧米は日本よりも高いことから、マンモグラフィによる乳がん検診は10年以上前から積極的に行われていました。また、米国では乳房の拡大人口は日本に匹敵しないほど大きいので、シリコンバッグを挿入した後のマンモグラフィー撮影にあたっては、医療従事者間でも効率的に情報が共有されています。
しかし、日本では状況が少し異なります。確かに、シリコンバッグ挿入手術後の患者の乳房X線撮影法は情報を共有していますが、米国で開発された方法では日本人患者の検査精度を犠牲にする必要があります。
その理由は、アメリカ人女性と日本人女性のバストにはある違いが見られるためです。
一般にアメリカ人のバストは柔らかくて伸びがあり、皮下脂肪が多い傾向があります。一方、日本のバストは、アメリカ人よりも皮膚が硬く、皮下脂肪が少ない。
シリコンバッグ挿入手術後のマンモグラフィー撮影のやり方というのは、シリコンバッグを圧縮することなくシリコンバッグ上に存在する乳腺を撮影するというものです。
豊富な皮下脂肪があり、シリコンバッグと乳腺との間に豊富な脂肪層がある場合、この方法でほとんどの乳腺を網羅できるので問題ありません。しかし、多くの日本人女性の場合、先に述べたようにバッグと乳腺の間の脂肪の層がそれほど多くありません。するとシリコンバッグを挟むことなくシリコンバッグの上の部分を圧縮しても、多くの乳腺は挟まれることがないため、検査としてはカバーできません。

シリコンバッグ挿入手術の根本的問題は、バッグそれ自体が全くの異物であるということです。
性的魅力とファッション性をバストの役割と考慮すると、シリコンバッグはかなり昔から存在する人工臓器であると言えるでしょう。 ですがそれはあくまでも「人工的な」器官にすぎず、実際の器官ではありません。 本物ではなく人工的なものであるため、拘縮やマンモグラフィー等の診断イメージングの問題を許容できるときにはじめてシリコンバッグ挿入手術が適応すると思われます

※なお上記シリコンバッグ挿入手術に関する文章はあくまで読者の寄稿記事であり管理人は内容の真偽については判断しかねます。

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